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懸命に声を張り上げる早川


一進  (8)早川友基 総理大臣杯で鮮烈デビュー 準V貢献した強心臓1年生GK  

 
 不調の明大を最後尾から支えた。早川友基(営1=桐蔭学園)は9月1〜10日に行われた総理大臣杯で公式戦初出場を遂げると、同大会の全ての試合にフル出場。準優勝に貢献した。現在、第2節を終えた後期リーグ戦にも全試合フル出場を果たしており、1年生ながら主力のGKとして活躍している。サッカー部の1年を追いかける本特集「一進」。今回は早川選手のコラムをお送りします。


「緊張しない」冷静沈着なプレーに周囲も賞賛

 9月に行われた総理大臣杯1回戦の松山大戦。ゴールマウスを守った早川は、初の公式戦とは思えない堂々としたプレーを披露した。序盤から積極的なコーチングでディフェンスラインをコントロール。攻撃へと転じる正確なキックで前へとチーム全体を後押しした。1―0で迎えた前半14分には相手に一対一の決定的な場面をつくられるが「(相手のシュートモーションが)窮屈そうでした。でも、枠には入るだろうなと思ったので、体を張って守りました」。コンマ0秒の中で、冷静に相手を分析。186cmの身長を生かし、体を目一杯に広げシュートをポスト横に弾き出した。初戦ということもあり、前半はチーム全体で硬さが見られ、流れに乗れなかった。それでも、無失点で折り返したことで後半は軌道に乗り3点を追加。4―0の圧勝で内容、結果ともに良好な状態で初戦を終えることができた。

 松山大戦後、栗田大輔監督は「(早川は)チームを救ってくれたシーンもありました。今日も良かったと思います。ここ1カ月半はトップチームでプレーしていて、最近の練習試合でも起用してきました。自信を持って彼を送り出しています」と高い信頼を示した。また、3―0で勝利した2回戦の関西学大戦後、ディフェンスラインをけん引する鳥海晃司(商4=ジェフユナイテッド千葉)も「1年生とは思えないような堂々としたプレーしてくれているので、すごく頼りになりました」と評価。その冷静さは来季からプロ入りが決まっている4年生CBも絶賛している。首脳陣、スタメンからの信頼も厚い早川は今大会を通し5試合全てに出場。3試合の完封勝利に貢献し、総失点はわずか2点だった。
 
 強心臓がプレーを支えている。公式戦初出場が決まったのは試合当日の朝食後のミーティングだった。「練習や紅白戦を踏まえて、いつ出場しても大丈夫なように準備をしていました。なので、びっくりしたというよりも『やってやるぞ』という気持ちでした」と突然の抜てきにも動じなかった。また、公式初出場の試合が全国の舞台だったが「緊張はしなかったです。もし、ミスして周りから何か言われても『オッケー、オッケー』って理解しつつも受け流すようにしています。その都度引きずっていたら、チームが崩れてしまうので」。最後尾からチームを支えるために決してブレない。言葉通り試合中は終始冷静なプレーで一貫。その頼もしい姿は、デビューしたばかりの1年生とは思えなかった。


「波があった」不安定なチーム状況の中つかんだ好機

 「チームとしては、前期はあまりいい結果を残せなくて、後ろも安定していない部分がありました。その分、4人のGKが試合に出ていたので『チャンスがあればいいな』くらいに思っていました」。

 アミノバイタルカップを終えた7月でも、いまだチームは不安定だった。「波がありました」と木戸皓貴主将(文4=東福岡)が前期を振り返ったように、前期リーグ戦の結果は4勝4敗3分で7位。全体を通して連敗はなかったが、連勝もなかった。そして、アミノバイタルカップ5〜8位決定戦では2部所属の格下・青学大に1―3で完敗。チームの歯車はかみ合ってなかった。GKも昨年は服部一輝選手(平29法卒=現カターレ富山)が正GKとして君臨したが、今年は前期だけで全7人中4人を起用。誰もが正GKを務めるまでにはいかなかった。

 そんな中白羽の矢が立ったのが早川だった。5月27日に行われたインディペンデンズリーグBブロック第4戦、対国士大U―22Bとの一戦で先発出場を果たし、無失点に貢献。その後、3試合にスタメンフル出場し、7月の下旬よりトップチームの仲間入りを果たした。「チーム状況としてもタイミング良く試合に出られて、そこでチャンスをつかまないといけないと思っていました」。それからはトップチームの練習試合にも参加し、着々と結果を残した。

 今年は天皇杯の日程が変更され、4ヶ月前倒しで4月から開幕。そのため、予選である東京都トーナメントも、昨年は7月だったが今年は4月に移動。また、今年はユニバーシアードが開催されることも考慮され、総理大臣杯の日程も2週間後ろ倒しになり、9月初旬に開催された。そのため、昨年は直前の公式戦から総理大臣杯まではわずか2週間しかなかったが、今年は2カ月近くも空きがあった。チームにとってはかなりイレギュラーな状況だが、早川とっては「いいことにもなった」。正GKが決まっていない中、この期間は絶好のアピールの場に。チーム状況と大会までの日数の増加が早川を後押しした。


明大進学開いた国体制覇

 いわゆるタレントではない。「国体で優勝しなかったら、ここには来られなかった」。同期には高円宮杯チャンピオンシップと全国高校選手権の2冠を達成した青森山田の主将・住永翔(政経1=青森山田)やプレミアリーグEASTと日本クラブユース選手権(U―18)の得点王・小柏剛(商1=大宮アルディージャユース)。高校時代は名をとどろかせたタレントが明大に集結している。一方、早川は母校の桐蔭学園の一員として、3年間で一度も全国の舞台に立つことはできなかった。桐蔭学園は神奈川県内有数の名門。しかし、近年は日大藤沢、桐光学園などに押され、在学時は県予選を突破することはできなかった。

 唯一全国の舞台に出たのは、2年次に神奈川県選抜として臨んだ和歌山県国体だ。「みんながうまかった。自分は早生まれなので、たまたま選ばれました」。少年の部は16歳以下で臨むため、ほとんどは高校1年生で構成されるが、早生まれの早川は2年生ながら選出。「DF陣が年上の選手が多かったので、後ろからチームの雰囲気を引き締めることができました」。現在、J2・湘南ベルマーレで活躍している石原広数と共に上級生として後ろからチームを支え、全4試合で失点はわずか1点。少年の部における神奈川県選抜の連覇に貢献した。

 その功績もあり、関東圏内の複数の大学から声が掛かった。その中の一つが明大。「強いというのは知っていました。だから、その分メンバーが良くて出場するのが難しいというのは分かっていました。でも、そんな厳しい環境だからこそ、自分が成長できる場ではあると考えています」。

 入学から5カ月で守護神の座を手にはしたものの、ここからが過酷な道のりだ。「今スタメンで出た分、これから4年間は出続けることを目指していかないといけないです。だから、練習でも簡単にミスや軽いプレーはできないし、これからも成長していかないといけない。明治のGKは全員能力が高いので、それに負けないくらいの安定したパフォーマンスでチームを支えていきたいです」。“奪う側”から“奪われる側”になった今、一切の油断はできない。4年後もゴールマウスにいるために、今日もプレッシャーの中で戦い続ける。

[古賀章太郎] 

◆早川友基(はやかわ・ともき) 営1 桐蔭学園 186cm・76kg 目標とするGKはデ・ヘア(スペイン)とクルトワ(ベルギー)



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