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エンジョイベースボールの精神を受け継ぐ


東京六大学野球 2017〜秋〜  (25)慶大戦事前インタビュー@ 大久保監督、照屋主将  

 覇権奪回へ、秋に強い明治を見せつける。12年ぶりの5位に沈んだ昨季から、夏場を乗り越えチームも個々も一回りに成長。春の課題であった得点力不足もオープン戦では兆しが見えてきた。目指すのは秋連覇と日本一。全員野球で勝利をつかむ。
 投打で圧倒し、優勝へ王手をかける。明大は第4週を終え、3カード連取で首位に躍り出ている。4カード目は現在3位の慶大との一戦だ。慶大は初戦の東大戦で敗れるなど苦戦を強いられているが、リーグトップの8本塁打を記録。強力打線は折り紙付きだ。昨季勝ち点をストレートで奪われている相手に、今季も油断はできない。だがチーム打率、防御率共にリーグ1位と絶好調の明大。勢いこのまま強さを見せつける。(この取材は9月6日に行われたものです)


大久保秀昭監督
――春2位の成績を振り返って

そりゃ1位の方がいいよね(笑)。あと一つという部分でもあるけれども、結果としては負けたということなので悔しいですね。(早慶戦まで優勝の可能性があった)前の週で決まってしまうといろんな意味で残念ですから、慶応は慶応としての第8週のところまでは優勝の可能性を残して戦いたいとは常に思っていますけどね。

――2季連続で早大を倒されました
めちゃめちゃ大きいですね。対早稲田という歴史的な背景がありますので、これをしっかりと共有したり、引き継いでいかないといけない。卒業した後に早稲田に勝ったというのはその時の達成感とか、仲間との共通の思い出として残ることなのでね。優勝と共に早稲田に勝つというのは大事ですし、優勝するには当然明治に勝たないといかんしね(笑)。これは大変ですよ。法政にしても、立教にしてもボコボコいい選手全国から集まってきますからね。

――多くの他大がスポーツ推薦を取っている中で2位でした
そこが面白い。逆にそれを感じてプレーできない選手は神宮で勝負できないよと言っています。他大には同じ高校生の時に甲子園5万人の観衆の中で決勝戦戦った経験をしてる、していないというプロ予備軍だとか、プロ志望届出したらドラフトにかかる選手が何人もいる。県大会1回戦や2回戦でちょっとチヤホヤされて、そこでエースで4番だとかずっと中心でやっている野球観だけで勝負できると思うなよというところをまずたたきこまないといけないです。この間も選手に言いましたけど、東都も含めてお前ら相手の出身高校見てみろよと。みんな甲子園常連の私学の強豪といわれる出身者がほとんど名を連ねているんだぞと。そいつらはずっと野球をやって、競争を勝ち抜いて厳しい監督の下、いろんな叱咤(しった)されながらたたき上げられてきて、高校の時にある程度のことをやっている連中だよとそういう素材の連中と戦う慶応には今そういう制度がないからね。AO入試だってありますけど、それだってかなりハードルが高いですから。今までの先輩たちだってそうやって対峙してきたんだよと。慶応の良さを出すために、効率よく練習もするし、頭も使っていかに力を発揮してくか。だから全ては練習の中にある、練習は不可能を可能にするという言葉にもつながる。それが200人もいて、みんなが平等にやってたら勝てないよねと。グラウンドが小さいし、室内も1カ所。ナイター設備もない。それでもみんな練習やらせてくれと言ってます。でもどうやって練習しないで勝つのかと。学校始まったら学校に行って、ちょこちょこと練習やって、土日だけ神宮で都合よく勝ちましょうなんてね。慶応高校が甲子園行きましたとか、うまい選手がたまたま集まった時じゃないと勝てない野球じゃ面白くないよねと言っています。俺は毎年勝ちたい。そこに“エンジョイベースボール”を本当に理解して、取り組んでほしいなと思いますね。

――大久保監督は慶大の“エンジョイベースボール”と明大の“人間力野球”の違いとはどのようにお考えですか
“エンジョイベースボール”の根底にあるのは、最終的にエンジョイというのは勝つ喜びだとか、勝つのが厳しいよなという相手に勝てたみたいな、そこが本質です。ただみんなでなんとなく楽しく野球を面白いなとかではない。もちろん野球が好きだとか大前提にあるんだけど、もっと最終的なゴールはそういう困難を乗り越えながらやった果てにある達成感がエンジョイなんだよというところですからね。だからある意味、自分を磨いていくという最終的なゴールは(人間力野球と)同じようなところにつながってくるんじゃないですかね。人間力というのはわかりやすくて、教育的な部分でも“人の成長なくして技術の進歩ない”とかにつながるし、プロ野球の野村監督ですらプロの人間に対して人間教育だっていうくらいですからね。ただそこへのアプローチの仕方ですよね。それは僕の恩師である前田祐吉監督は昭和一桁世代の人から引き継いだ言葉を広く広めたということですから。だから島岡吉郎監督がいられて前田祐吉監督がいられて、このお二方は対照的な感じですよね。『なんとかせい』という島岡監督と、前田監督も『なんとかするために考えていくのが“エンジョイベースボールだ”』みたいな。善波さん(達也監督)は選手が監督に対して緊張感を持つという形ですよね。これはこれで学生野球としては大事なことかもしれない。意志統一、一貫性、規律が保たれる。でも僕なんかは自分たちで律してやってくれよと思っています。監督の顔色を伺っているようじゃ子どもなんだよね。でも今の子供達は比較的そういう子が多くて。トイレ行ったら避けるみたいな(笑)。そういうのはあるのかなとは思いますね。僕なんかは監督が大好きだったし、こわいと思ったことがないし、監督と話をするのもワクワクしたし。監督がいようがいまいが、やることは変わらず淡々とやってましたね。『監督がいるから気合を入れようぜ』とか『監督の機嫌が悪いから…』というのは高校時代の話で。僕らは監督に大人扱いをしてもらっていたから、僕も基本はそうでありたいんですよね。大人は自立、自律する。大学生も20歳前後だし、そうであってほしいけど、今はそういう野球がちょっと減ってきているかなと思いますね。時代とともに変わっていくのは仕方がないかなと思います。時代とともに適した指導をしていかないといけない。でも譲れないところは譲れないから、今日はグラウンドにおらんぞと思っても、そうではないと。今日もちょっと怒っちゃったなとかね、監督も反省するんだよ(笑)。監督の自己満足になってもいかんし、別に僕のしたい大人にするわけじゃないから。もちろん僕のやりたい野球というのはあるけど、僕が好むような人材を育成しているわけではなくて、野球を通じて学ぶこととか、六大学、慶応の中で、世の中に出て通用するリーダーになっていくような人材であってほしいというところの指導というんですかね。僕の恩師もよく言ってましたけど、たかが野球で。たかが野球なんだけどやっぱり野球なんだよ(笑)。その野球の勝敗だけに懸けている人もいるから一概には言えないですけど、それだけに追い込まれてしまう人生はちょっと違う気もすると僕は考えています。野球を通じて学んでいるだけかなとは思っていますね。

――慶大監督に就任して3回目の秋です
慶応野球部は技術とか、精神的な部分も含めて『やりたい』と思った人、誰でもいいと受け入れた190人です。社会人(JXーENEOSの監督を務めていた)ではGM的な役割もしてたから、こいつとやりたいと思って選抜した30人。同じ野球でも全然違うよね。(社会人野球は)トーナメント式で負けたら終わりの戦いをしないといけないから、その緊張感の中で、やっていく雰囲気がある。同じ野球だからやることは同じなんだけど、チームを作って上では学生野球の方がものすごく労力がいります。でも成長の度合いとか、『こいつこんなことできるようになったの!?』とか、時間が短い間にガッといったりするから、そういうのを感じられた時はたまらなくうれしいね。その瞬間で苦労が報われるかなというね。上辺だけの『監督胴上げしたいです』とかは全然いらなくてね。一生懸命やってグラウンドに出てきて、練習から、練習以外から頑張ってやってるようなやつが、何らかしらの形でやってくれると泣くほどうれしいよね。100人くらいしか部員がいない時はベンチ入り25人の中でポコっと1人入れるとか、1人、2人、4年生でもシーズンに1回は入れてやろうとかできたけど、人数が多いとそういうこともできないからね。でも社会人は1年でも自分こいつとやりたいと思ったけど、いざチームに入ったらチームにとってマイナスと思ったら『社会人では腐ったみかんはいらん!』と辞めさせちゃうから。プロ野球でいうと引退。でも学生野球は辞めさせるわけにはいかない。寝坊ばっかり、練習もまともに来ないから辞めろとは簡単には言えないんだよね。学生は甘いと言われるのはそういう部分がある。あとは責任感の部分。基本的にアルバイトして生計を立ててやっているわけではなくて、親の仕送り、奨学金をもらっている学生がほとんど。社会人の場合は会社から給料をもらって、働いているわけだからそこの責任感は全然違う。会社からお金をもらって仕事は野球で、野球で貢献できなかったら、『そりゃしょうがないよな』といくらでも言うことはできるんですよね。あと社会人野球はプロを目指している若者がほとんどだから、当然トーナメントで負けない、都市対抗で優勝を目指しながらプロも目指すから頑張らない理由がないわけよ。お金ももらってるしね。学生は自由気ままに、わがままにやれている唯一の4年間。野球で入ってきたやつは野球でやるしか基本的にないわけで。慶応の場合はそういう人が逆に3人前後くらいしかいないから難しい。もっとお前上目指すならこれやれとかもできないから。自分である程度考え、自立、自律してやってくれないとね。追い込ませるのもある程度こっちが提供しながらやっていかないといけない。そうでないと限界がすごく低くなる。

――善波監督と同じ桐蔭学園高出ですが、考え方は様々ですね
進む大学とか出会う指導者によっていろんなスタイルがある。善波さんはすごいと思いますよ。細かい、細かい。気配りができるし、学生に対して人間教育とか妥協しないね。それが自分のところだけじゃなくて、代表チームとかで預かった他大の選手にもしっかりと言っているからね。素晴らしい監督だと思います。自衛隊の教官とかになったらいいと思うな(笑)。

――話は戻りますが、現在のチーム状況は
ここで調子がいいとか悪いとかあるかもしれないですけど、大きなケガもないし。こちらの想定している中でそこそこ進んでいます。やっぱり7月試験休みにしているからどうしても時間が欲しい中で、開幕1週間遅れるのは非常にありがたいというかね。時間的に考えるとよかったですかね。

――この夏はどのような点を重点的に取り組まれましたか
試合の中でピッチャーは3点以内で野手は4点を入れていく取り組みはしていましたね。オープン戦も結構それに近い形はでき始めているけどね。でも3点に抑えた時でも1点、2点しか入らないときだってあるしね。最終的にはそこで取った、取られたで満足するじゃいけないね。

――この夏成長を感じられた選手はいらっしゃいますか
投手は津留崎ですかね。慶応高校の時はエースだったんですけど、トミージョーンをやって2年経って、春は1アウトだけだけど経験できて。僕はこの秋からと思っていたから、その通りにうまいことリハビリをクリアして順調にきているので、彼が一枚加わってというのはありますね。(野手では)中村という中京大中京からきた右のやつかな。あとは河合、内田という選抜準優勝した三重高校の3人はレギュラーに近いというか、試合に出しても勝負できるレベルには達してくれたかなと思ってますね。この辺が活躍すると厚みが出ていい方にいくかなと思いますね。

――昨季は加藤拓也選手(広島東洋カープ)の穴を全員で埋められた印象です
結果的にはそういう風になりました。でもそれはデーターが無い中での話だからね。苦戦はしながらも形は作れたとは思います。春投げた連中が経験を積んでくれて、自信付けたり、悔しい思いをしたりした中で取り組んでくれた状況で迎えるのがこの秋なんでね。だいぶピッチャーらしくなってきたというか、簡単に大崩れしないような戦いが増えてきたかな。勝ち負けはいろんな状況があるから仕方ないですけど、今までオープン戦で2ケタとか大量失点したりだとか、もう何点取られるのよみたいな止まりませんみたいな。社会人とやったりするとそういう状況もありましたけど、かなり改善された投手陣になりつつあります。

――春活躍した投手陣の状態はいかがですか
橋佑樹は安定してますね。菊地が良かったり、悪かったりなんで。いいのが続くことを願ってますね(笑)。あとは関根、佐藤の1年生。あんまり変わんないんですよね。だいたい先発はとか役割を明確にしながらやっていくつもりです。

――昨季はチーム打率が2位でした
当初はそんなに大量点取ってみたいなイメージはなかったんですけど、リーグ戦戦っていく中で一人一人が良くなっていったなと感じますね。春は瀬尾が三振は多かったけど、彼の出塁率がチームにはプラスになって。あとは清水翔がポイントゲッターになったというか。郡司、岩見、柳町だけじゃなくて、そこが駄目でも清水がいるよみたいな。この4人が基本的に打たなかったら慶応は終わるよと彼らにはプレッシャーをかけていましたね。もう打たなかったらごめんなさいだからと。それくらいの覚悟でやってくれとは春から言ってます。

――4年生の活躍が目覚ましかったです
蓋開けたら郡司、柳町、あとピッチャー以外は4年生だったからね。倉田、照屋は先行投資して2年の時から使ってましたんで、やっと芽が出始めているのかな。

――投打のキーマンを挙げるなら
ピッチャーは橋佑、橋亮が防御率2点前後でいてくれること。打者は岩見とか言うと多分打たないから(笑)。キャプテンの照屋に打撃面でも絡んでくるかというところで、照屋に最後期待しますけどね。

――春の明大の印象を教えてください
選手層が厚いし、ピッチャーは齊藤(大将投手・政経4=桐光学園)、水野(匡貴投手・農4=静岡)、森下(暢仁投手・政経2=大分商)その他諸々、出てくるピッチャー140キロ以上投げてたりするし、うらやましいなと思ってます。今日ベンチ入っていないのに、まだこんなおるの?みたいな(笑)。誰が出てきてもそれなりのレベルというか、高いレベルの選手が出てくる。そういうのは感じますね。(明大とは)僅差の接戦になるんですかね。これは明治だけじゃなくてね。秋もうちはコソッと目立たないくらいの感じで食らい付きながら戦えたらいいなと思います。

――最後に意気込みをお願いします
早慶戦まできっちり優勝争いをして、最後は4年生をいい形で送り出してあげたいなという思いです。

――ありがとうございました

ラストシーズンに全てを懸ける
ラストシーズンに全てを懸ける


照屋塁主将
――昨シーズンを振り返って
あと1勝していればというところで優勝を逃してしまったので、投手力、打撃力など総合的にあと一歩足りなかったということを実感しました。

――あと1勝という場面でプレッシャーは
もともと最下位の可能性もあると言われてスタートしたチームだったので、優勝しなければいけないというプレッシャーはなかったんですけど、競った試合で仕事ができたら勝てるという場面でベストが果たせなかった部分はあると思います。

――夏の取り組みは
基本的には個人の能力アップと、連携を含めたチーム力のアップというのをテーマにして取り組みました。振り込みの量が多くて、ピッチャーにしっかりと向かっていけるようにやっていけたかと思います。(投手陣)彼らは彼らで高い意識を持って1球の失投も許されないことを意識してこだわって練習していました。

――今のチームに優勝に向けて足りないものは
メンバーもそれ以外もどれだけ同じ方向に向けて取り組めるかということはまだまだもっとできると思うので、詰めていきたいです。

――スター選手の多かった重田前主将の世代が抜けました。影響のほどは
去年は加藤さんが中心で、頼りっぱなしのチームだったんですけど、抜けたことで投手陣はその穴を埋めないといけないと思ってやって、全体的にレベルアップができたかなと思います。

――春季リーグ戦で印象に残っている試合は
早慶戦の2戦目の優勝がかかった試合で序盤は慶応のペースで進められていたんですけど逆転されて負けてしまったということで、優勝する難しさは改めて感じました。

――主将就任からは半年ほど経ちました
チームづくりという面では4年生、あとは学生スタッフを中心に全員で取り組めているので、僕はプレーでどう引っ張っていけるかというところを中心に考えていって、まあまあできているかなと思います。(理想の主将としての姿)とにかく結果を出すことです。

――昨季からはフレッシュリーグが始まりました
下級生が神宮での試合を経験できる場が増えるのはいいことだと思いますし、それがチーム全体の底上げにもつながると思います。

――今シーズンのキーマンは
明渡です。明渡が結果を出せばチームは勢いづくのではないかと思います。

――明大と対戦してみての印象は
やっぱり明治は粘り強さ、戦いにくさというのは変わらないです。去年は明治にはやられていたので、常に明治を意識して練習してました。

――理想としている勝ち方は
特にないです。とにかく勝てばいいというのが大前提です。それがロースコアでも打ち合いでも勝てばいいとは思うんですけど、まもりからは崩れずに接戦をものにできるような試合ができればと思います。

――今季の意気込みをお願いします
秋は優勝します。

――ありがとうございました

[浜崎結衣・曽布川昌也]



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