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キック力は自慢だ


NEW MEIJI  〜最終章〜(30)堀米航平 4年目での挫折から這い上がった司令塔  

 19年ぶりの全国大学選手権準優勝を果たし、古川満主将(商4=桐蔭学園)が率いた今シーズンは幕を閉じた。本企画「NEW MEIJI〜最終章〜」ではチームを引っ張った古川主将、梶村祐介(政経4=報徳学園)、前田剛(営4=報徳学園)、堀米航平(商4=流経大柏)の4人をピックアップします。
 最後の年で与えられた試練を乗り越えた。堀米は今季シーズン途中までジュニアでの出場が続き、2年次よりスタメンに定着していた中初めて挫折を経験。だがこの経験を経て一回り以上成長し、明早戦でカムバックした。スタンドオフとしては珍しいディフェンス力を強みとし、キックの飛距離においても誰にも負けない。4年目にして最大の挫折を味わった紫紺の10番は、ついに明治のラグビーに別れを告げる。

明治での最後の壁
 ラストシーズンで苦難が待ち構えていた。新体制始動後最初の練習、当たり前のようにAチームのメンバーボードを見た。だがそこに堀米の名前はなく「頭が真っ白になった」。これまで1年次から紫紺に袖を通し、スタンドオフとしての座を確立してきた堀米。しかし最終学年になり始めて実力で落とされた。シーズン開幕の対抗戦初戦・青学大戦、堀米はまさかのメンバー外。「あの試合が一番悔しかった。いる場所もないなって」。自分はチームに必要のない人間なんじゃないかと思い悔しさが募った。だが腐ることなく、そこから挽回した。「ジュニアでもしっかりとリーダーシップを取って良いパフォーマンスを出せるように」と心掛け、ジュニア戦・東海大戦では雨の中シンプルなゲームメークを一定してやり首脳陣にアピール。これを機に対抗戦5戦目の日体大戦にてリザーブ復帰し、明早戦でスタメンに完全復帰を果たした。
 「明早戦に出たい」という気持ちから這い上がった。挫折知らずだった堀米は、人知れず努力を重ねた。朝練後、午前中にウエートをやり、夕方にはキック練習や一人ゴールポストに向かってパス練習。そして夜にまたウエートトレーニング。これらの個人練習により今まで弱く外れやすかった肩もテーピングなしで戦えるようになり、さらにはパス技術の向上でより仕掛けるゲームメークができるようになった。
 これも家族がいたからこそできたことだ。シーズンに入っても「家が一番リフレッシュできた」とオフ日には毎週のように埼玉の実家に帰り、母はマッサージをしてくれたりたくさんの料理で温かく迎え入れてくれた。それ以外にも父には多い時で週に2、3回ほど電話で話を聞いてもらい、ネガティブな発言にも「大丈夫」と力強い言葉でモチベーションを維持させてくれた。兄は同じ明治ラグビー部卒の経験者として「焦る必要はない、今だけだから」とアドバイスをしてくれ、父、母、兄それぞれに違ったサポートを受け「ラグビー人生史上最もつらかった日々」を乗り越えることができた。「これがなかったら成長できなかった」と振り返る堀米。ラストイヤーでの最大の挫折は、堀米を進化させるために不可欠なものであった。
仕掛けてパスする技術が向上した
仕掛けてパスする技術が向上した

一生心に残る試合
 大学選手権決勝、ノーサイドの瞬間「自分のせいだ」と自責の念にかられた。この試合、前半6分のPGを「正直入ったと思ったけど帰ったら入ってなくて。たぶん最後の最後に風で流されてしまった」と外してしまう。そこからどこか違和感を覚え、3本連続でキックミス。普段とは違う目に見えない何かの中「今までにない経験だった」と振り返った。試合後チームメイトには「お前のせいじゃないよ」とフォローの言葉をもらい少しは楽になったが、後悔の念は拭い切れず。決勝後はビデオを4回ほど見たものの、外した3本のキックシーンだけはどうしても見ることができず早送りした。1点差だっただけに、キッカーとしての悔いは一生残るものになった。
 この経験を次につなげる。卒業後はトップリーグ・リコーブラックラムズへの加入が決まっている。1年目からの出場を目標に掲げ、自信も十分だ。「まだ自分には可能性がある。伸ばせる部分がある」。今季どん底から復活した経験を糧に、次のステージでの飛躍を誓う。

◆堀米航平(ほりごめ・こうへい) 商4 流経大柏高出 178cm・89kg
 ポジションはスタンドオフ。古川、梶村とともにルーキー時代からAチームでの出場を重ねてきた。今季は実力での降格を初経験し、挫折を経て明早戦でスタメン復帰を果たす。スタンドオフの層が厚い明治でもディフェンス力とキック力は一番。高校日本代表。趣味はギター。

[石塚真維]

以下、インタビューが続きます
――大学選手権決勝でノーサイドの瞬間に思ったことは
 その瞬間はただひたすら自分のせいだと思ってしまいました。自分を責めていたというか。今でも自分が決めていればみたいなことは思ってしまいます。
キック前に風を読む堀米
キック前に風を読む堀米

――ご自身にとってどんなシーズンになりましたか
 この1年は初めての挫折を味わった年で、今までケガでうまくいかなかったことはあったけど実力的に落ちたというのは初めての経験でした。最初は正直めちゃくちゃ悔しくて無理かなみたいに思ったりしたこともありました。でもそういう時に家族が一番支えてくれて、周りの友達にも応援してもらって。絶対上に上がらないといけないみたいな気持ちは常にあったので、そこからラグビーに対する毎日の時間というのも増えました。ジュニアのチームでもしっかりとリーダーシップを取って良いパフォーマンスを出せるように考えが変わって、良い結果も出てきてまたAチームに戻ることができて、早明戦からはまたレギュラーに復活することができたのだと思います。本当に一回落ちるところまで落ちて、それでまた上がることができてというような年でした。これがなかったら成長できなかった部分は大きかったと思うし、4年目でこういう経験をしたのは結果的によかったかなとは思います。

――この1年間での成長点を教えてください
 変わったこととしては全部です。ラグビーに対する考えも、プレーも、私生活も全て変わりました。決して今まで悪かったというわけではないけど、もっといいようになったかなと。1年間で一番成長したのは、プレーもそうだし自分の強みと弱みがしっかりと分かって、その強みを伸ばすことができた部分が一番よかったと思います。プレーで言ったら、決めごとにとらわれなくなりました。ここではこういうふうにしなきゃいけないとかそういうのじゃなくて、相手のいるスペースにボールを運べるようになったというか。今までと違ってそういう力が今年1年で付いたかなと思います。
決勝後スタンド席を見て薄ら涙をにじませた
決勝後スタンド席を見て薄ら涙をにじませた

――4年間を振り返るとどうでしょうか
 終わってみればあっという間って思うかもしれないけど、長かったかなと思います。特に最後は。いい意味で長くて本当に充実していた4年間でした。

――ご自身のプレーで印象に残っているものがあれば教えてください
 (選手権決勝での)キックかな。もう一回蹴れるならもう一回蹴りたいです。特に一番最初に蹴ったペナルティーキックは今までに味わったことのないような経験をしました。入ったと思って帰ったら入ってなくて。たぶん自分の中で何かがあったからだと思います。今までの試合とは違いました。

――卒業後はどんなプレーがしたいですか
 次ポジション争いをするのは外国人だったりするので、そこで結果を出したいなと思います。しっかりと明治の経験を生かしてやりたいです。1年目で試合に出るというのは目標で、それに対しては自信しかないです。もちろんそんな簡単なことではないけど、そこを勝っていける、頑張っていけるだけの自信は付きました。将来的には日本代表も視野に入れていて、やるなら上を目指してもっと頑張りたいなと思っています。

――ありがとうございました

★今回で「NEW MEIJI 〜最終章〜」は最後となります。見てくださってありがとうございました。
また、「NEW MEIJI 〜最後の紫紺〜」において4年生全員を取り上げられなかったことを、お詫び申し上げます★



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