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もうひとつのホイッスル  (3)自分らしさを探して  

 毎号1面に掲載されている本紙コラム『ホイッスル』。学生の視点から警鐘を鳴らし、読者を振り返らせたいという思いからその名が付けられました。「明大スポーツ」紙面には全部員が書いたものの中から選ばれた一作が掲載されています。
 今企画では、面白いと部内で評判の高かった数ある作品の中からいくつかを紹介していきます。

 毎年8月6日には黙とうをする。原爆投下という悲劇はテレビで数々の特集が組まれ、わたしたちに平和の意味を伝えている。その中に指揮者・小澤征爾さんが自らの戦争体験を語る番組があった。

◆番組の最後に司会者から「戦争を知らない若者にメッセージを」という問いが出された。「もっと個性を出していいと思う」。小澤さんの言葉がエールだとは分かっていても、わたしはなぜか素直 にうなずけなかった。

◆歴史的な不況は、新聞やニュースの中だけの話ではなく大学生であるわたしたちに襲い掛かっている。「就職活動は厳しいらしい」、「好きなことなんて優先できない」。そんな声が飛び交い、本屋にはエントリーシートの書き方や面接での答え方といった本が所狭しと並ぶ。

◆今のわたしたちに大人の「個性を出せ」という言葉は、もはや無力ではないだろうか。わたしたちは良い企業に就職することが立派な大人だと教えられ、「必勝」の文字に躍らされパターン化した回答を身に着けていく。そこから外れるものは「最近の若者は――」と祭り上げられる。そんな状況で「個性を出せ」と言われても、もうわたしたちは身動きなどとれなくなっているのだ。

◆あれだけの悲劇を経験していながら、戦後の日本の復興は目を見張るものがあったという。戦争の爪痕という大きな力に立ち向かった日本人の姿は、迫る社会の波の中でもがくわたしたちと重ならないだろうか。今すぐに個性は手に入らないかもしれない。けれど「わたしらしさ」を見つける強さは、きっとわたしたちの中にある。

[西川祐美]


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