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スピードスケートな人たちU  (6)来年への大きなステップ・黒岩信允  

 「大学を出てから成長するための4年間だった」。黒岩信允スピード部門主将(政経4)は、数多(あまた)の悔しさを経験したこの4年間を経て、スケートに生きる人生を選択した。
 滑走直後の、まだ息も整わないうちに告げられた言葉が今でも耳に残っている。「こんなもんだよ――」。10月に行われた全日本距離別選手権、夢のワールドカップ出場を懸けて挑んだその大会で、大学入学以来最低の11位に終わった黒岩(信)は言い放った。隠しようのない悔しさを押し殺した、固い笑顔で。

 「世界で戦うには、まだまだ。未熟さを感じた」。ワールドカップ派遣選手選考を兼ねた全日本距離別選手権、そしてバンクーバー五輪日本代表選手選考競技会と、今シーズン2度自身の夢である“世界での活躍”に至るステージに立った黒岩(信)。しかし結果はともに振るわず、世界への道は断たれた。悔しさは決してぬぐい去れるものではない。しかし「世界で戦えるようになるには、何かを大きく変えないといけない」。黒岩(信)の目は、既に先を見据えている。

 スケートは卒業後も続けていく。地元・群馬県にスポンサーを得て、高校時代の監督の指導を仰ぎ練習に励むことになっている。練習熱心でこれ以上ないほど努力を続けていただけに、「もうやり尽くした」と大学までで辞めようと思っていた時期もあった。しかし昨季に出場したユニバーシアードで「まだやり残していたことがあった。伸びしろが見つかった」と、スケートを続ける決意を固めた。大学最後のシーズンは半ばを過ぎ、黒岩(信)はこの1年を「来年へのステップ」と位置づける。学生としてではなく競技に取り組む来年は、黒岩(信)にとって大きな転機。環境が変わり、そしてフォームなど“変えなければいけない何か”を変える年になる。競技を続ける決意を固め、気持ちを入れて過ごしてきたこの1年が、来年以降彼の糧となる。

 そんな今季、松本浅間選抜ではついに1位に輝いた。ユニバーシアードでも4位と好成績を収めた得意の1万mだが、「これから進むべき道では、ユニバとか、そんな記録はちっぽけ」と、黒岩(信)の向上心は留まることを知らない。明治を巣立ち、来年以降は確実に結果を求められる世界に身を置くことになる。「4年間は無駄じゃなかったし、無駄じゃなかったと思える結果を出さないといけない」。誰よりもどん欲に練習に励み、努力し続けてきた4年間。限られた環境の中で、主将としての苦労も多かった。だからこそ、「最後のインカレはびしっと決めたい」。学年が上がるにつれ、特別な感情を抱くようになったというインカレ。2年前奪われた王座を、取り戻すにはもう今年しかない。スピード部門としても、個人の5000mも1万mも、目指すは優勝のみだ。来年へのステップは、納得の形で終わらせる。

 「自分の小ささを知った。世界の広さも知った。悔しい気持ちを、大切にしたい」。悔しさを力に変えて、黒岩(信)は高みへと登り詰める。最後のインカレでは、きっと表彰台の頂点で柔らかな笑顔を見せてくれるはずだ。

◆黒岩信允 くろいわのぶみつ 政経4 嬬恋高出 171p・62s

[斉藤麻衣]


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