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第472号 箱根駅伝2017特集号

  明大スポーツ  ホイッスル

  「泰然自若とした精神は死後千年も持続する」。霊魂は鍛錬することができるという、日本人の行き過ぎた価値観を表す言葉である。第2次世界大戦では竹やりで陣地を守ろうとし、片道分の燃料を積んだ航空機で敵軍に体当たりした。精神力で相手に勝てると信じていた◆またこんな逸話もある。空戦から帰着した大尉が、帰ってくる部下の航空機を数えていた。全員が帰着するのを待ち、報告書を作成した。そして司令部に連絡を終えると、大尉は倒れた。兵士たちが助け起こそうとしたが、既に冷たくなっている。胸には銃弾の痕。とっくに息絶えていたのだ…。彼の魂≠ェ部下を見届け、司令部に報告したのだという◆根性≠ヘ今や美徳ではない。ブラック企業、パワハラ、虐待、世間が敏感になればなるほど、耐え忍ぶことよりも合理性が求められる。スポーツでいえば、水分補給は小まめにするべき、休養は適度に必要といった理論だろう。若者は弱くなったといわれる◆先日、そんな風潮に立ち向かうべく、風邪をこじらせたが、ぶっ倒れるまで休まないと決意した。1週間で限界が来たが、しばらく普段通りの生活に耐えた。後々病院に行き診断されたのは胃腸炎。根性一つですごいものにあらがっていたのだと少し自信になった◆ふらつきながら足を一歩、また一歩と前に出す。正月に見る箱根駅伝のランナーたち。体力はもう使い果たしたのだろう。襷をつなぐと、最後は道路に倒れ込む。私には、彼らが“魂”で走っているように見える◆あの一歩を踏み出すのがどれだけ苦しいことか。新年の日本を元気づける彼らの走り。限界に挑むその姿に、忘れかけていた精神がうかがえる。箱根を見なければ一年が始まらない


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